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2019年上半期 PHC/Metalcore BEST10

2019年の上半期にリリースされたPost Hardcore/Metalcoreの中からベスト10曲をセレクトしました。

キーワードは“ポップミュージックとしてのヘヴィーミュージック”、Trap以降のマナーや最新のポップカルチャーにインスパイアされたアティチュード、はたまた革新的なオリジナルなサウンドを提示する2019年後半昨日のカギと成り得る10曲です。

 

1. Five AM「Crazy」

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ニュージャージー州プリンストンの4ピース・Five AMの「Crazy」。Trap以降のフロウやデリバリーがソングライティングとして自然体で咀嚼され体現された2019年以降のPHCの一つのロールモデルになるような一曲。おそらく2019年下半期は昨今のポップカルチャーに影響されたFive AMのようなZ世代のアクトが台頭すると予想。

 

2. CVLTE「20」

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既に各所でザワザワされている北海道の新鋭4ピース・CULTEの「20」。エモコアオルタナティヴロックをベースにしたオーセンティックなサウンドR&BやHip Hopが当然のように自然体でミックスされていて、彼らと同世代の若者は勿論、僕のような30代もニヤリと出来るところが憎い。そしてMusic Video。完全にHip Hopクルーのそれ。車に座っちゃう感じとか完全にラッパー。意識的なのか自然体なのかは分からないが彼らの世代では既に昨今のポップカルチャーにインスパイアされた新しいスタンダードが構築されていて、彼らが世の中に飛び出した時にそのスタンダードもどんどんシェアされていくんだろう。手垢の付きまくった言葉だがまさしく“新世代のロックバンド”だ。

 

3. DRAG ME OUT「I'm Sorry」

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色々とお騒がせしたex-Asking AlexandriaのDeniss Scottによる新バンドDrag Me Outの1stシングル。全盛期のJonny Craig宜しくシーンきってのヒール感とボーカルとしてのポテンシャルを持ち合わせるDenissのようやくのカムバック、更にそのボーカル力とカリスマ性はしっかりと健在でかなり興奮してスピンしまくった1曲。ただその後リリースされたアルバムは非常に微妙な出来だったので今後に期待。Down & Dirtyの最強感をまた見たい。

 

4. Tell Lie Vision「Castles」

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シンガポールのポストハードコアバンド・Tell Lie Visionの「Castles」。疾走感、ソリッドさ、スクリームのアグレッション、メロディアスなクリーンパート、とにかく全てがツボ。2億点。真新しさこそ無いが真っ当に良い。それが良い。

 

5. INDIGHXST「Pyromance」

youtu.beニュージャージーのポストハードコアバンド・INDIGHXST「Pyromance」。とにかく混ぜ方のバランスが抜群。エレクトロなアレンジにブラックミュージック由来のバウンス感、しかしソングライティングはしっかりポストハードコア的でエモい。メタルコア、ハードコア、エモコアの境界線が無くなりポスト・ジャンル的かつコモディティ化が進む昨今のシーンにおいて、勝ち抜く鍵は混ぜ方の妙であると改めて教えてくれる1曲。

 

6. Earthists.「Purge Me」

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東京のメタルコア・Earthists.の最新曲「Purge Me」。昨年リリースしたアルバム『LIFEBRINDER』ではアジア圏のPHCバンドとのコラボや、Nu-Metalや叙情的なアプローチ等、とにかく世界的なトレンドに対して野心的かつオリジナルなスタイルでアプローチしてきたEarthists.が完全覚醒。Gt.YutoのソロプロジェクトSkyLogicの文脈がフィードバックされたアレンジは勿論、チルとマッシヴが混在した全くの新しいメタルコア。唸りましたね。

 

7. été「ruminator」

youtu.be東京の3ピース・été(エテ)、最新アルバム『Apathy』のリード曲「ruminator」。ギターロック meets ポエトリーリーディングという独自性の強い音楽性に更にDjent/プログレッシブメタルコアのマナーを盛り込んだ先鋭的かつカッティングエッジな1曲。しかしこれが飛び道具的なニュアンスで終わらずしっかりと彼らのスタンダードとして体現できているのは確固たるソングライティングとプロダクションメイキングの賜物。おそらく現行の日本のヘヴィーミュージックを根本から更新するのは彼ら。

 

8. Time, The Valuator「Vibrant」

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ドイツのDjentポスコア・ Time, The Valuatorの最新曲「Vibrant」。昨年リリースしたフルアルバムが桁違いのクオリティでコアリスナー達を圧倒したT,TV、前任のVo.Philが神懸っていただけに体調不良による脱退から新Vo.加入に伴う再始動には流石に杞憂したがそれを余裕で吹き飛ばレベルの楽曲でシーンに見事凱旋を果たした。SAOSINにも通じるポスト・スクリーモ然としたハイエンドなソングライティングは健在、Djentの咀嚼の仕方やアレンジを含めたプロダクションメイクも相変わらずハイエンド。叙情ポストハードコアとしてはまさしくTOP1でしょう。

 

 9. Issues「Tapping Out」

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年内にリリースされるIssues久しぶりのアルバムより久しぶりの新曲の「Tapping Out」。スクリーマーのMichaelが脱退し、ついにポップサイドに振り切るのか!と思いきやまさかのヘヴィネス回帰(Michealは練習をしないのでクビになった)。ただIssuesの強みであるTyler君のボーカルとメロディアスなソングライティングは健在。多様化が進む現行のシーンで敢えてオーセンティックメタルコアに立ち返った新生Issues、アルバムが非常に楽しみ。

 

10. From the Abyss「Deja vu

youtu.be東京の新鋭メタルコア/PHC・From the Abyssの最新曲「Deja vu」。Vo.KOがベビーフェイスなのを差し引けば和製blessthefall。個人的にEarthists.に続くヘヴィーアクトは彼らだと思っているのだが、。BMTH以降の壮大なアレンジメントはFOADのKentoが手掛けているとの事。

 

EX1. Vaudlow「This Could Be Ours」

youtu.beボストンの2ピース叙情インストポストロックバンドVaudlowのデビューシングル。想像するに世界は何らかの理由で滅んでしまった。地球に住んでいた殆どの人が死に絶え、辛うじて生き残った僅かな人達は荒廃した世界で未来の無い日々を生きている。此処はかつて多くの人で賑わっていたとある街のとある劇場。この街で唯一生き残った2人の男は唯一自分たちの手元に残った楽器を持ち寄り、亡くなった大切な人達や消え去った未来を憂い楽器を鳴らす。願いのような祈りのような悲鳴のような世界が終わった後の音楽。サウンドプロダクションからミュージックビデオまで完璧にデザインされたプロダクト。何度観ても鳥肌が止まらないし、涙も止まらない。(※全て想像)

 

EX2. Vaudlow「Blue Desolate」

youtu.beボストンの2ピース叙情インストポストロックバンドVaudlowの2ndシングル。地球に残された2人の男達は、古い宇宙船を見つけ宇宙へ飛び出す事を決意した。手元に残された楽器だけを携えて。宛の無い旅。第二の地球が見つかる保証は無い。願いのような祈りのような希望のような宇宙の果てで鳴らされる世界が終わった後の音楽。